KAITO V3を使ってみたので、感想をまとめてみました。 このブログを書いている時点の環境次の通りです。 ・Windows8 64bit ・USB接続のMIDIキーボード ・ASIOドライバー対応USBオーディオインターフェイス ・VOCALOID3 Editor 3.0.5.0 ・CUBASE7.0.2 (64bit) |
1.
ピアプロスタジオ 0.9.3
ピアプロスタジオはVSTプラグインなので単体では使用できません。
VSTプラグインのホストとなるDAWアプリケーションが必要です。
KAITO V3に付属するStudio One ARTIST Piapro editionの拡張機能として利用できます。
使ってみて次のような特徴が分かりました。
・60ページ超えの紙のマニュアルが付属する
ショートカットキーやVOCALOIDの発音記号も印刷されてます。PDFマニュアルもインストールされます。
・再生しながらノートを編集できる
VOCALOID3 Editorは、再生中はノートを編集することができません。
ピアプロスタジオ は再生しながら編集するすることができます。
特定の範囲をループ(繰り返し)再生しながら編集することもきます。
ループ再生した場合はループ範囲の最後のノートと最初のノートの発音がつながります(ポルタメントが効きます)。
・歌詞の入力は歌詞入力パレットをを使う
ピアプロスタジオはノートをダブルクリックすると歌詞入力パレットが表示されます。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjJYQ7kDh-9X3B9vgcLAkTJCU6Lm1kz_0sGCjpxgjB_SdAJPsFViF95-TJZFpygN7YMW7n8AfcOo97DOOT5YLlSuUBtgh6rkk4VrTHfXcJo53ZhEcjAdImrRFeA5TSN91q68IoN7NhUCe0/s320/piaprostudio_lylic.png)
TABキーを押すたびに歌詞入力パレットを開いたままノートを移動することができます。
VOCALOID3 Editorと操作方法はほとんど同じですが、ピアプロスタジオの歌詞入力パレットは複数のノートに歌詞の流し込みができ、文字と発音記号が両方表示されるので使いやすいです。
・ウィンドウの大きさは自由に設定できる
VSTプラグインとしては珍しい仕様です。
・VOCALOID2シーケンスファイル(*.vsq)とVOCALOID3シーケンスファイル(*.vsqx)の読み込みができます。
・VOCALOID3シーケンスファイル(*.vsqx)への書出しができます。
・VOCALOID3シーケンスをオーディオファイル(*.wav)に書出すことができます。
・vsqxへの書出しをしなくても編集した内容はホストDAW(Studio One)のプロジェクトと一緒に保存されます。
・ショートカットキーはVOCALOID3 Editorと異なります。ノートのトランスポーズ(音階の上げ下げ)はCtrlキーを押しながらカーソルキーの上下です。
2.
ピアプロスタジオ 0.9.3の制限
・
バージョン0.9.9で48kHz/96kHzサンプリングレートへの対応予定とのことです。
Studio Oneの場合、メニューの Studio One - オプション - ソング設定(左下のボタン) で設定できます。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgUyy8I0GS4QlBCIUjPzFxV85uNvpioch-8ImO7L-_3w5Zb3_gWFkXyElI2cHx7dVZOodlKI-4oTHTTCuy0eUlDQGf84Lyku0dpe1cZtJvR_JKWaR69jva3IbLFv-hWwuwS2k4Y4qkHrQM/s320/studioone_441.png)
・MIDIキーボードでノートの入力はできませんでした
Studio OneのインストゥルメントトラックにMIDIノートを置いて再生してみましたが、ピアプロスタジオは反応しませんでした。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj-JCh9r9xg9fHp1NOq8GyT6mB1m2HMXgpH_lXbhQy1XBJxacCJbSigEdH0Nd3ponM8IvAb3p1L3bxQO3ncjlFbNRg5ZbjTAFPP3vksvTgV48OPWfvmXUdnRrEZut-UXtoL6-KC58FBLd4/s320/studioone_midi.png)
2013/04/15 Piapro Studio VSTi v0.9.6 アップデータでMIDIファイルの読み込みに対応しました。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgoWnz4qdEnpJJ4GP3l3czQhXCTuN2hepLv_bdxuZ_JAu8B6uGyzFJbBfgeDkZLv4ghtaLD_J98L4z_qOi4g1eo6PklmCI_owEH4ssEFfKcsAjKO11J4WN9gifV6u63-LjR-oPHXxzmtyI/s320/BH48L4jCMAAO2Xf.png)
http://www.crypton.co.jp/mp/do/support/vi_engine?id=26
VSTiプラグインですがホストDAWから操作できることはトランスポート程度なので使用感はRewireに近いです。
・64bitのCUBASE7では使えませんでした
こんな画面になりました。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjMUQB418pMf_6rV4dwz9IzmgiXWyqPEA4ytDaTv6TB1IAjrZccm7OzsD4ey6qm7csb6sdOeulFSz_vf_Xq1yCB5zJwclAzj3m9tVgValf5zUmanUIBFBkYtwXu8A_bMeUjtSuJUEBtRUg/s320/piaprostudi.png)
64bit版ホストアプリケーションはアップデータにて対応予定とのことです。
(Mutant VSTiは64bit CUBASEで使えました)
「MIDI モディファイアーをフリーズ」でMIDIパートに変換できるか試したかったのですが、64bit対応までお預けです。(MIDIインサートではないので変換できないでしょう)
・VOCALOID2版初音ミク・鏡音リン・レン、巡音ルカ、他社VOCALOIDは扱えませんでした。
アップデータにて対応予定とのことです。
・起動できるインスタンス数は1つのみのようです。
1つのインスタンスで16人分のKAITO V3を歌わせることができます。
同時に16人分以上歌わせるならオーディオファイルへに書き出してオーディオトラックで編集するといいと思います。
→正しくはトラックウィンドウの「Out Channel」の設定でマルチアウトすることができます。「Out Channel」はトラックウィンドウを縦に伸ばすと表示されます。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj3IsX_ohkmXsQc8Th4dCYOmOfUkOHNJT7dI7OxD-rdpOECJ_u_1wXX0pMf7zDYVVQDoHza0JEHGBOcgoqXx-QL5qYSDXBcepU_qPyRvQaPYJTHjRQp-TKbyM_BqPrhBlXtAZFtTRMTUmo/s320/piapro.png)
訂正するとともにお詫び申し上げます。 2013/03/04
・VOCALOID3 Editorのジョブプラグインは使えませんでした。
3.
Studio One ARTIST Piapro edition 2.5.0.20189
Studio One ARTIST Piapro editionは32bit (x86)のDAWアプリケーションです。
「オーディオ・プロセッシング解像度」は最大32bit、初期設定は24bitです。
Studio Oneは4つのラインナップがあり、一番下は機能制限があるけど無料で使用できる「Studio One FREE」というラインナップです。
Studio One ARTISTはStudio One FREEの一つ上のラインナップで、FREEより機能が強化されています。
詳しくはメーカーのWebサイトで確認できます。
http://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/what-are-the-versions/
FREEと比べて一番ありがたく思ったのはエフェクトのリミッター(Limiter)が付属することです。
「たかがリミッター」と思われるかもしれませんが、リミッターが無いとクリッピングさせずに音量を揃えるのにとても手間がかかります。
下の図は「メイン」チャンネル(CUBASEで言うStereo Out)にリミッターをインサートした様子です。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhzd9mk3Js4CWaMaYU47PO_rV1EwV12WwyVdjurak7rZ96vMr0dxOiav9NpoHTof0C-i-FF9xSK11Dr0Rm3I5nrYCtahmg376esH29jnbwwyCrkZ3nSDNZ4_gGGB-P9SQnsqnhNa9U8-wY/s320/studioone_limitter.png)
・Studio One 起動時に、前回使用したMIDIキーボードが接続されてない・電源が入ってないと「再接続しますか」と聞いてくれます。
この機能はとても親切です。
MtkはCUBASE起動後にMIDIキーボードの電源を入れ忘れたことに気がつき、CUBASEを起動し直すことが多いので。
・VSTプラグインの追加はできません。
ピアプロスタジオとMutant VSTi以外の社外プラグインの追加機能はStudio One Producer以上のラインナップで対応しています。
Studio One Producer へのアップグレードは8,000円でできるようです。
・CUBASEのeLicenserのようなUSBドングルは不要です。
4.
VOCALOIDライブラリーとしてのKAITO V3
・VOCALOID3 Editorで使えました。
・VOCALOID Editor for CUBASEで使えました。
・鏡音レンが苦しそうに歌う音域もしっかり歌いあげます。
・鏡音レンに比べると一つ一つの発音が明瞭です。
鏡音レンの歌声調整の経験がある人なら、KAITO V3はとても扱いやすい男性声のVOCALOIDだと思います。
英語のvsqxをKAITO V3と巡音ルカとで発音させ、波形を並べてみました。どちらもノーマライズ済みです。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjBTHCkJbNZRwJ5G2z2POT2Da1YyTJ67jcJbGBb2PLxN7B6WsCXfxo_i6W8n7rtU8mHk3IHpyewH60uCgwF1GcX6bihGUZLlXzlHrkPlknT09FktF7rPd87pQDKevPHbDkzX2d1rYh0UlI/s320/kaito_and_luka.png)
この波形はAndroidアプリEye元気!2 用のトークロイド音声です。
波形を見ただけでVOCALOIDの特徴を判断することは不可能です。
ですが、KAITO V3と巡音ルカとでは発音のタイミングや強さが異なることが分かります。
まとめ
KAITO V3は3つの日本語ライブラリーと1つの英語ライブラリーにDAWと専用VSTプラグインが付属して16800円という前代未聞のコストパフォーマンスで発売されました。
VOCALOID3 Editorは別売りですが、KAITO V3に付属するStudio One ARTISTとピアプロスタジオはそれを補うだけの機能は揃っていると思います。
ピアプロスタジオは多くのアップデータが予定されているので、将来はもっと使いやすくなるでしょう。
VOCALOID3 Editorに比べると歌詞を入力しやすい作りになっています。
Studio One ARTISTは4つのラインナップのうち下から2番目ですが、作曲や録音に最低限必要な機能を備えていると思います。
Studio One ARTIST Piapro editionはUSBドングルが必要ないのでノートPCにインストールして外出先で利用する用途にも向いています。
CUBASEはeLisencerを紛失したらライセンス失効です。
プラグインエフェクトも豊富に用意されているので、初心者でも効率よく操作できると思います。
Studio One ARTISTがどんなソフトかわからない・使いこなせるか心配という方は無料版のStudio One FREEを試すと思います。Studio One FREEは機能が制限されていますが、操作方法はStudio One ARTISTと同じです。
http://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/free/
KAITO V3は「VOCALOIDを使って作曲をはじめてみたいけど何を買えばいいのか分からない」という方におすすめできる内容です。
ただし作曲の才能を変化させてくれるものではありません。
ボーカロイドが音声案内するAndroidアプリを公開中です!
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyQipiVTCjnVNFWxQ0H8dODv1fS7msIyl28F-QdOz5uGDXcadPVmw70f0Szn6X5sx8lPOXRBdvsVLAEq8zuO-qZfsV7nCGx-II4Azc46_5GPCkcRilFbIf8K27J2cP5-j50_hh0-puXg8/s320/ic_launcher.png)
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiY_CuFRO3FUCHZh3izOHarih_RFIq9OVuhC3RkTjvMiDmY2ATVlIiJDCYqe55-EO4oYlkDYLIeVLiX5hj-UCO30mYXv6nJ7vt4L9ahzpNbIaD-aMeMcbYVVrEOp2FaFwmKTdxsiHxUyYk/s320/icon_36.png)
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