[Java] thisとは

What is "this"

Javaには「this」というキーワードがあります。Javaで書かれたAndroidアプリのソースにも頻繁に登場します。

thisはインスタンス化されたクラスの自分自信を指します。
「this.」の後にクラスのメンバー変数やメソッドを書くことができるし省略することもできます。
staticなメンバーやメソッドはインスタンス化されないのでthisをつけて書くことはできません。

以下は説明のためのサンプルソースです。
Activity(Sample1.java) package jp.fujiu.AndroidApp.this_sample; import android.app.Activity; import android.content.Context; import android.os.Bundle; import android.widget.Toast; public class Sample1 extends Activity { String a = "instance menber"; //インスタンスメンバー static String b = "static menber"; //staticメンバー @Override public void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); /* * (1) * 親クラス（Activity）から継承した * インスタンスメソッドgetApplication()に * thisをつけてアクセスしています。 */ Context context = this.getApplication(); /* * (2) * 自分自身（Sample1）のインスタンスメンバーに * thisをつけてアクセスしています。 */ Toast.makeText(context, this.a, Toast.LENGTH_SHORT).show(); /* * (3) * 自分自身（Sample1）のstaticメンバーに * 自分のクラス名をつけてアクセスしています。 */ Toast.makeText(context, Sample1.b, Toast.LENGTH_SHORT).show(); } } このサンプルでは(1)と(2)がthisをつける例です。
(3)はstaticなのでthisではなく自分のクラス名をつける例です。
このソースの(1)と(2)のthisと(3)の自分のクラス名は省略可能です。

変数名が競合する場合はthisを省略できません。
次のサンプルはthisやクラス名を省略できないケースです。
Activity(Sample2.java) package jp.fujiu.AndroidApp.this_sample; import android.app.Activity; import android.content.Context; import android.os.Bundle; import android.widget.Toast; public class Sample2 extends Activity { int a = 1; //(1) static int b = 4; //(2) @Override public void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); Context context = this.getApplication(); int a = 2; //(3) int b = 5; //(4) /* * this.a と b の足し算です。 * this.aは(1)のa、次のaは(3)のaです。 * 1 + 2 の結果、3を表示します。 */ Toast.makeText(context, String.valueOf(this.a + a), Toast.LENGTH_SHORT).show(); /* * Sample2.b と b を足し算します。 * Sample2.bは(2)のb、次のbは(4)のbです。 * 4 + 5 の結果、9を表示します。 */ Toast.makeText(context, String.valueOf(Sample2.b + b), Toast.LENGTH_SHORT).show(); } } Sample2のフィールドメンバー(1)(2)と、onCreateメソッドのローカル変数(3)(4)にそれぞれ「a」「b」という変数があります。
この場合、thisをつけた「a」は(1)が、つけない「a」は(3)が使われます。
クラス名をつけた「b」は(2)が、つけない「b」は(4)が使われます。
このサンプルはthisの省略ができないことを示すだけで、紛らわしい変数名を区別するためにthisを使うべきではありません。

ただしアクセサー(setter)では敢えて同じ変数名を使ってthisで区別する人もいます。
public class Sample3 { private int x; //(1) public void setX(int x){ //引数のx値を(1)のxに代入する this.x = x; } }
Eclipseを使っていれば、「this.」と入力するとそのクラスのフィールドやメソッドの一覧が表示されます。省略可能でも敢えて省略しない人も多いと思います。
「this.」を入力しなくてもCtrlキーを押しながらスペースキーを押しても同じことができます。

省略可能なthisを書くべきか、略すべきか
書いても書かなくても実行時のパフォーマンスに影響はないのでどっちでもいいと思います。読みやすいソースコードを書くことが大事だと思います。

以上、参考になれば幸いです。
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